競技スポーツ・生涯スポーツ・運動遊び

落合 優 (横浜国立大学名誉教授)

落合トップレベルスポーツのすばらしさ
現在トリノで冬季オリンピックが開催されています。TV、インターネットなどメディアの著しい発達・普及と相まって、私たちは、一流の競技者の集う場でのトップレベルースポーツマンの活躍を居ながらにして目にすることができます。それは私たちに、躍動する身体の美しさ、磨きに磨き抜いた技能の力強さと流麗さ、醸しされる雰囲気の荘厳さなどなど、スポーツのすばらしさの再発見につながる貴重な体験の機会を与えてくれます。

トップレベルのスポーツにふれることは、現在それぞれにスポーツに励んでいる人たちばかりでなく、「これからスポーツをやってみようかな」と思っている人たちにとってもそのスポーツ実践に大きな弾みをつけてくれることでしょう。

トップレベルスポーツは、運動実践の頂点?
オリンピックが開催されているときやその前後では、マスコミが競って「メダル」獲得について報じたり、予測したりします。そして、メダル獲得数を増やすためには、スポーツ実践の裾野(あるいは底辺)を広げることが必須であるとの論調もよく耳にするようになります。これは正論ですが、個人的にはいくらか納得できない面があります。それは、「一流競技者を生み出す」ための方策として「多くの人たちのスポーツ実践」を推奨しているように聞こえてしまう危険性があるからです。競技スポーツと生涯スポーツは、図Aのような形ではなく、図Bのようなものであると考えています。すなわち、生涯を通じてのスポーツ実践の中に、競技スポーツ、レクリエーションスポーツ、健康スポーツ、そして運動的な遊び等々が含まれおり、それぞれがそれを行う人にとって等しく大切で重要なものであると位置づけたいと考えています。

生涯スポーツ

運動遊びを楽しもう・取り組もう
私はもちろん体育を専門としておりますが、その中で子どもの遊びについての研究に関わっています。このほどYNUSの仲間に入れていただいたことを機に、運動的な遊びに進んで喜んで取り組むことが、次世代を担う子どもたちの心身の健やかな育ちのためにいかに大切であるかを皆様にお伝えできれば幸いと願っております。
なお、子どもの遊びに関することがらのは、まだ構築途上ですが次のHPにいくつか掲載してあります。http://ped14.edhs.ynu.ac.jp/asobi/index.html